犬との童話な毎日
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むわ、と噎せ返る様な紅色。
息を吸い込めば、土の匂いと、青臭い緑の匂い。
春の匂い。
……満開だな。
誰かが呟く。
ゆらり、と揺れる紅色に煙る風の中、はら、と蝶々。
目で追うと、それは蝶々では無く、花片で。
頼りなさげに、風に揺れる。
そ、と手を伸ばそうとして、ふと目に入った青と藍色の混ざる、山際。
じんわり、と広がる濃い色に境目を見つけようと、目を細めてみる。
……あそこから夜が来る。
さあ、帰れ。
誰かが呟いた気がした。