犬との童話な毎日

「……もう一回言って」

良く聞こえなかった、と悠に視線を移す。

そして気付いたのはいつの間にか人が増えた教室の中。
クラスメイトの大部分の人が、同じ方向を見たり、気にしたりしているみたいで。

みんなの目線を追って、教室の入り口を見れば。

うわ、と低い声があたしの口から漏れてしまった。

「……そこの小娘、ちょっと話したいことがあるんだが」

その整った顔に。
尊大な態度に。

あたしではなく、女子達がきゃーーー、と声を上げた。

「朝から素敵だわっ、黒曜先輩っ」

「黒曜先輩がそこにいるだけで尊いっ。尊すぎるっ」

…………ちょっと理解出来ません。
色々と。




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