犬との童話な毎日

下駄箱の中にピンク色が見えた。
目が引き付けられて。

「……何だこれ」

ふわり、と蓋が開いた事による微かな風圧にピンク色が落ちる。

良く見ると、小さな花だった。
花、と言うよりは花弁。
小さな雑草の花弁が、上履きの中で少しの山になっていた。

そして見ている間にも、蟻達が咥えていた花弁をそこに置いて、引き返して行く。

たまに下履きの中に入らずに、入って直ぐに花弁を置いて引き返す蟻も。

絶句して立ち尽くすあたしの肩越しに、誰かがひょい、と覗き込む気配。

「えっ、何これ、ミラクルじゃん!」

鈴木、耳元でうるさい。

「なになに〜〜、鈴木どうしたの?」

ちょ、他クラスの人間が覗くな。
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