犬との童話な毎日
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夜に香る風は昼間よりも少し澄んでいて、心の中が静かになる気がする。
柔らかい風を全身に感じながら深く息を吐いて吸う。
目を閉じれば、自分自身の心の中に沈んで行くような。
静かに静かに沈んで。
音が消える。
ただただ、静かに。
澄んだ水面のように。
ただただ、静かに。
波紋が広がるような。
『小娘、何をしている?』
ぱちん、と破裂したかのように急激に浮上する意識。
は、と目を開ければ眼の前に黒曜の顔があった。
つまりは、ベッドに寝転んでいるあたしの上に、黒曜が跨がっているという事で……。
「わっ、な、何してんのよ」
茶色い毛並みが、窓からの緩やかな風にそよ、と揺れるのが視界の隅に入って。
慣れない至近距離に戸惑いながらも、目の前の黒い瞳を睨み付ける。
『小娘、今。何をしていた?』