犬との童話な毎日

驚いて思わず口を開いた瞬間、黒曜が先に声を発した。

『先程のように寝転べ』

「……何で?」

きょとん、と見返すあたしの顔をぐ、と茶色い毛玉が距離を縮めて覗き込んで来るから。
渋々寝転ぶ。

『目を閉じろ』

命令口調だし。
何なの、一体。

頭を上げて文句を言おうとして、ベッドが軋むのを感じて口を噤む。

これは……。
またあたしの体を跨いじゃう感じ?

『先程のように眠ろうとしろ』

「…………あのー。せ、せめてベッドから降りてくれません?覗き込まれながら、とか無理」

いくら犬とは言え。
いやあたしの苦手な犬だからこそ、至近距離から覗き込まれながら目なんか閉じれないよ。
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