犬との童話な毎日
今度はクローゼットの衣装棚の中から、デニムを引きずり出す。
ベッドから動く気配の無い黒曜を振り返って見れば。
無表情にあたしを見返すだけ。
目で訴えてみたけれど、伝わる気配は全然ない。
「……着替えたいからさ。ちょっと廊下に出てくんない?」
『俺は気にしないが』
何か問題でも?とでも続きそうな声。
問題なんて大有りだわ!!
「あたしが気にすんの!」
あたしの剣幕に黒曜は面倒臭そうに息を吐いてから、ゆっくりと立ち上がった。
本当に面倒臭そうに。
『今更だろうに』
捨てゼリフみたいにぽつり、呟きながら。