犬との童話な毎日
黒曜がじ、とあたしを見てくるからあたしもじと、と見返す。
漆黒の目が微かに揺れる。
最近こういう表情をすることが増えた気がする。
何がしたいの?と聞くたびに。
黒曜から漂う、珍しく躊躇うような空気。
黒曜の考えていることは分からない。
特に犬の表情なんて、読み取る訓練なんてしたこともないし。
「もーいいよ。今日はお終い」
反動を付けて体を起こして、手を一つ叩く。
黒曜の身体が一瞬びく、として。
何か言うかな、と思ったけれど。
一拍置いて、つん、と澄ました顔をしたから。
「散歩いこ、散歩」
スマホを掴んで、椅子に掛かった、だぼっとしたトレーナーを頭から被る。