犬との童話な毎日

『……還りたがっている』

そう沙月ちゃんの足元、ベッドの上にお座りをしていた黒曜が小さく呟いたのも、あたしは聞いていなかった。
沙月ちゃんと昨日のドラマの話しをして笑い合っていて。

この世の中にどうしようも無い事。
汚かったり、悲しかったり、切なかったり。
そういう事を知らない幼いあたしは。
何も考えずに沙月ちゃんと笑ってた。




この世の中に、望まれない生命があると言う事。






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