犬との童話な毎日

***

月曜日の朝。

「……ねぇ、また沙月ちゃんとこお見舞い行こうか」

ベッドからのそのそと起き上がりながら部屋の隅に寝そべる黒曜を、霞む視界で見やる。
寝起きは少し声が出しづらい。

『俺に許可を求めずに行けばいい。
沙月が小娘を迷惑だと思っているなら止めるが、実際喜んでいるしな』
「…………」

黒曜の言葉に、目を擦っていた手を止めて凝視する。
ん?と顔を上げるその憎たらしい茶色い毛玉。

『何だ小娘』
「……何でも無い」

じとー、っとした目で見つめているあたしに気付いているだろうけれど、黒曜は興味無さそうに再び目を閉じた。



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