犬との童話な毎日

***

学校帰りに寄った産婦人科の沙月ちゃんの居る病室の前の廊下。
扉に手をかけながら、黒曜を見下ろす。

「……何かあったのかな」
『……そうだな』

何人かの看護師さん達が病室を、出たり入ったりしていた。
あまり慌てた様子でも無かったけれど、いつもは結構静かな雰囲気だったから、何となく心配になってしまう。

「沙月ちゃん……」

病室に入って、窓際。
恐る恐るカーテン越しに声を掛けてから、僅かに開く。

「あ、りっちゃん。
ありがとう、また来てくれたの?」

ベッドに寝転ぶ従姉妹は、本から目線をこちらに向けると、満面の笑顔になった。


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