犬との童話な毎日
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学校帰りに寄った産婦人科の沙月ちゃんの居る病室の前の廊下。
扉に手をかけながら、黒曜を見下ろす。
「……何かあったのかな」
『……そうだな』
何人かの看護師さん達が病室を、出たり入ったりしていた。
あまり慌てた様子でも無かったけれど、いつもは結構静かな雰囲気だったから、何となく心配になってしまう。
「沙月ちゃん……」
病室に入って、窓際。
恐る恐るカーテン越しに声を掛けてから、僅かに開く。
「あ、りっちゃん。
ありがとう、また来てくれたの?」
ベッドに寝転ぶ従姉妹は、本から目線をこちらに向けると、満面の笑顔になった。