犬との童話な毎日
「いつも差し入れもしないで、手ぶらで来ちゃってごめんね」
「何言ってんの。毎日ベッドに釘付けで動いて無いのに、差し入れなんて食べてたら太っちゃう。来てくれてるだけで、本当に嬉しいわ」
椅子に座ると沙月ちゃんが、あたしの手を握ってくれた。
あたしの大好きな従姉妹は、兄妹の居ないあたしにとって、お姉ちゃんみたいな存在だった。
沙月ちゃんには4歳下の弟が居て、そっちには良く苛められてたけど。
「沙月ちゃん、もう赤ちゃんの名前決めた?」
「時間はいっぱいあるんだけど、まだ決めきれなくて……迷っちゃう」
沙月ちゃんがそう言いながら閉じる本の表紙には<名付け辞典>のタイトル。