犬との童話な毎日

『……一体、俺の事をどう思っているんだ、お前は』

化け犬です、とは言えなかった。
失礼な事を口にした自覚のあるあたしは、はは、と乾いた笑い方で黒曜から目を離す。

ぱたり、と揺れる尻尾が視界の隅。

窓を閉めようと、ひんやりとした感触の窓ガラスに手を掛けながら、あたしは躊躇いがちに声を出した。

「ねぇ」

『何だ?』

「今日の事……」

からから、と窓を閉めながら目に入るのは、夜道を照らす街灯。
それを何となく淋しい光景、と思ってしまうのは、あたしの今の気分を反映しているのかな。
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