犬との童話な毎日
あたしも高城を追い掛けるのをやめ、悠を促して黒曜の後に着いて行く。
次の授業に遅れないように。
「ねぇ、出るって何の話し?」
高城を放っておいて、隣りを歩く幼馴染みを見上げる。
悠がどんなに可愛くても、男は男で。
160無いあたしよりも10cmは身長が高い。
「六花はお化けよりも嫌がるだろうね。うちの高校に、何か犬が居着いちゃったらしいよ」
「犬?」
反射的に黒曜の方を見る。
最早、見慣れてしまった茶色い毛玉は、尻尾をゆらり、と揺らしながら扉の向こうに消えて行く所だった。
…………まさか、ね。
心を一瞬過った考え。
でも黒曜化け犬だし、あたし以外の周囲の人間には見えていない事はもう実証済み。