カットハウスやわた
今日の八幡さんは、お客様がいない時はぼんやりと過ごし、お客様が来たら慌てて仕事モードになる……を繰り返していた。


「ありがとうございました」


閉店間際、最後のお客様を見送った。私は、床を掃除しながら、八幡さんに言った。


「飲みに行きませんか?」


私は、酔っ払って八幡さんの店の前で寝て以来、お酒は控えていた。


「……いいの?」


「そろそろ解禁してもいいかな?って!酔っ払うほど飲む気もありませんから、おいしいご飯と少しのお酒を飲ませてくれるお店に、連れて行ってください」


八幡さんは、私を癒してくれた。今度は私が、八幡さんを癒してあげたい。


「じゃあ、さっさと片付けて出かけましょうよ!ね?」


「わかった」


やっと八幡さんに、愛想笑いや作り笑いではない、自然な笑みがこぼれた。


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