【完】お隣さんは泥棒さん!?
「はい、終了」
誰も助けてくれない。
そう思っていたあたし。
「もうやめとけよ。諦めが悪すぎだよオッサン」
にへらっと笑うその表情はあまりにも幼くて。
あたしよりも数センチ身長が低い彼。
多分165cmとか164cmしかないんじゃないかってくらい。
でも彼を包み込むオーラは何故か安心感があった。
「君、逃げて」
こそっと囁く彼。
私は軽く頭を下げてその場を早歩きで去った。
少しだけあの場所から離れて、さっと後ろを振り返る。
遠くで彼が殴られているのが見えた。
あたしは一瞬戻ろうと考えた。
でも…あたしは背を向けて再び歩き出す。
「悪いのはあの人。あたしなんて助けなきゃあんなことにはならなかったのよ」
あたしは最低だ。
…うん。
最低。