HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
ラブホの精算は私が払った。


私のマンションの方がラブホから近いとあって、吉良さんと仔猫ちゃんを招き入れる。


仔猫は警戒心からか、小さな身体をブルブル震わせながらも空腹を堪え切れず、吉良さんが少しだけ温めた小皿の中の牛乳をぺロペロと舌で舐めた。



「可哀相にな・・・」




吉良さんは捨てられた仔猫に同情して青い瞳を哀れに細める。





「吉良さんって…本当に猫がスキですね…」



「死んだ彼女が猫好きだっただけだ…俺は彼女に出会うまで猫には興味なかった」



「吉良さんの彼女…この世に居ないんですか?」




「いない…もう9年前の話だ。道路に飛び出した猫を助けようと大型トラックに轢かれた。助けようした猫も一緒に死んじゃって…彼女の死は無駄死だ」



私の中での吉良さんはいつも明るいイメージしかなくて、切なげに話す彼が別人に見えた。





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