HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
吉良さんとの出会いは3年前…


お爺様が心臓の病に倒れ、失意に打ちひしがれていた時だった。




「ここ、いいかな?」

優しいテノールの声が不意に耳に届く。


吉良さんが中庭のベンチに座り、泣いていた私の隣に座って来た。




私は慌てて自分の持っていたハンカチで涙を拭く。




「君は近江社長の孫娘さんだろ?」



「貴方は?」




「俺は『ジーザス』のMR・吉良恭介」



「薬品会社の人ですか…」



「…全ての人の命を助けるのが『ジーザス』です」




吉良さんは自社のCMの文句を真顔で言った。



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