HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
目の前の恭介が私の罪を遠回しに責めているようにしか見えなかった。


自分を苦しめながら私を煉獄に落としていく恭介。


貴方が芽衣子さんを忘れても、私は永遠に柾史を忘れられないかもしれない。

私のそばには…柾史の子が居るから…

「恭介…無理に忘れなくてもいいと思うよ」



「俺はずっと…優奈を愛そうと思って…結婚したんだ。芽衣子のコトを忘れようと…君を愛そうと努力した。なのに、俺は忘れてなかったんだ…」

恭介が自分を責めれば責める程、私は罪の意識で苦しくなる。


人をスキになるのに、努力は要らない。惹かれ合う心は自然に生まれるモノ。


恭介はそのコトに気づいていないんだ。


彼は無理をしているんだ。今、気づいた…私の良き夫、そして父親として…


その歪みが彼を追い詰めているんだ。










< 359 / 402 >

この作品をシェア

pagetop