もう弟なんてやめてやる。
「…………のよ」



ボソッと呟くように
明石が口を開いて。

俺は全神経を
明石に向ける。


何て言ったのか、分からない…



「…何、」

「幸せになんてなれないのよ」

「!?」

「…町田くんから、全部聞いたの。陸くんの濱中さんに対する気持ちが異常だって。普通じゃないって!」



明石の言葉に
ドクン、と鼓動を打って。

身体が固まった。


───気づかれ、て…た…



「それがもし本当なら…陸くん、正気なの!?相手はお姉さんなのよ?血の繋がった、実の姉なの!」



百合がガシッと陸の両腕を
掴んで身体を揺すった。

何も答えない陸に
百合の目に涙が滲む。



どうして──…
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