もう弟なんてやめてやる。
「さ、食べましょー」


母さんの声にハッとして
俺は席に着いた。

俺の隣には────、雫。


ドキドキと心臓が
落ち着いてくれない。



「「いただきます」」


そんな俺のことを知らずに
母さんと雫が手を合わせて。

俺も小さくいただきます、と
呟いてご飯を食べ始める。




「雫、テストどうだったの?もう返ってきてるでしょ?」

「うん、まぁまぁ。陸に教えてもらったから赤点はないよ。バッチリ」

「それならいいけど…、中間と同じような点数ならお母さん発狂しちゃうから」

「う…っ」

「陸だって受験生なんだから、陸ばっかりに頼っちゃダメよ?」

「俺は大丈夫だよ、母さん」



“もう、雫には甘いんだから”

そう言って母さんは
食事を再開した。

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