もう弟なんてやめてやる。
食事が終わると、

俺は自分の部屋に
すぐ逃げ込んだ。


暴走しそうになる自分を
僅かな理性で保つ。


「はぁ…」



出るのは深いため息で…
ボフッとベッドに寝転んだ。

自分の手を天井に向けて伸ばして
見つめること数秒、


「………」


手を力無く下ろした。



この手は────、汚い。


忘れたくても
忘れられない

自分のしてきた事……


この手は雫の代わりに
たくさんの女に触れた、手。


雫には───、

出来れば知られたくない。


なのに俺は忘れてたんだ。

アイツの存在を。
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