もう弟なんてやめてやる。
「…雫、」

「ごめん!今日は穂乃華ちゃんと帰るね」

「………」



そう言って教室の中へ
戻っていく雫の背中を見つめるだけで、

俺は何も言えなかった。



『全部話してもいいの?』

『話せば』



きっと町田が何か話したんだと
理解はしたけど、

今はどうしようも出来なくて。


だって町田が言ったことは
全部本当だから…


俺はそのまま踵を返して
下駄箱へ向かった。



「やっぱり陸くんだけ来たかー…」

「!」

「あんたさ、どの面下げて雫ちゃんと居るんだよ」

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