もう弟なんてやめてやる。
「………っ」


キッと町田を睨んだところで
何もならないのは解ってる。

けど、

何も言えないのが悔しかったんだ。



「まさか雫ちゃんのこと、恋愛対象として見てたなんてねー。どおりで、おかしいと思ったんだよ」

「っ」

「お前の………、その“異常さ”」




─────“異常”。
 

町田に耳元で言われた
その言葉に陸の手が震える。



「今までしてきたこと棚に上げて、よく平気で雫ちゃんと居れるよな」

「…雫に、話したんだな?」

「全部話したよ。俺たちを別れさせたことも、………明石さんのことも」

「!?」

「何もバレずに雫ちゃんと居るなんて、ずりーんだよ。だから望み通り話してやった。…まさか、俺が本気で言わないとでも思った訳?」

< 211 / 393 >

この作品をシェア

pagetop