もう弟なんてやめてやる。
陸がガシッと父親の襟元を掴んだ。


今にも殴りかかりそうなくらい
殺気立つ陸に父親が、

動じることなく
陸を見て。



「…何をやっているのか、それは父さん達の台詞だ!」

「!?」

「お前たちは、“姉弟”かどうかハッキリと分からないまま惹かれ合ったんだろ。それが、どういうことか解ってるのか!!」

「……っ…」

「…陸、雫、座りなさい」



ガシッと陸の腕を掴んで
振り解くと、

父親が座った。



「…母さん、母子手帳を持ってきてくれないか」

「……は、い」



パタパタと走ってく
母親の足音を聞きながら

陸が雫の元へ駆け寄った。



「……雫?」

「へへ、大丈夫だから。陸まで泣きそうな顔しないで」
< 370 / 393 >

この作品をシェア

pagetop