【完】本当の恋
運命     谷川愛生
私は孝佑くんのことを桃子に話した。
「なにそれ!運命じゃん!」
「そんなんじゃないよ」
「でも、アメリカに行ったっきり連絡してないんでしょ!?」
「うん・・・」
「それなのに高校になって再会。しかも、相手は愛生のこと覚えてたんでしょ!?」
「うん」
「すごいよそれ!」
桃子は興奮してチョコパフェを食べた。
「でも、矢神があの感じ悪男とはね」
「ちょっと。感じ悪男って言わないでよ!」
「ごめんごめん。愛生はまだ好きなの?」
「え!?」
「矢神のことじゃん」
「んー。忘れてはないけど・・・」
「好きだから忘れられないんじゃない?」
「そうなのかな・・」
確かに、夢を見ることもある。
それに、迎えが来るのを待っていときもあった。
でも、あれから12年が経つ。
孝佑くんは忘れているだろう。
「そろそろ帰ろっか」
私たちはカフェを出る。
「じゃあ、明日ね」
「うん。バイバイ」
私は電車に乗る。
しばらくしてお尻に違和感を感じた。
『嘘。痴漢?どうしよう』
恐怖で声も出せない。
『誰か。助けて』
「おい。手放せ」
心の声が聞こえたのか誰かが助けてくれた。
「次の駅で一緒に降りろ」
車内がざわざわする。
「何を言っているんだ君は」
「おっさんこの子のお尻に触ってただろ」
「う、うわー」
扉が開いた瞬間おじさんは走って逃げ出した。
 ガシッ
「逃がさねえよ」
おじさんは警察の人に連れていかれた。
「君も来て」
「あ、はい」
私は男の人について行った。
30分ほど話を聞かれ、返された。
「あの、ありがとうございました」
「いや。それより大丈夫?」
「はい」
「よかった」
「あの、お礼させてください」
「いいって」
「私、桜王高校2年の谷川愛生です」
「俺は、北里高校2年吉沢愛斗。よろしく」
「では、後日改めてお礼します」
私たちは連絡先を交換することにした。
「おい。愛斗」
聞き覚えの声。
後ろを振り返るとそこにいたのは
「おお。孝佑」
「おおじゃねえよ。ナンパか?」
「ちげえよ」
「孝佑くん」
「愛生ちゃん!?」
「なに孝佑知り合い?」
「ああ」
「もしかして、愛生ちゃんって・・・」
「おい!愛斗!!」
「分かってるよ」
「あの、帰っても大丈夫ですか?」
「おい孝佑。送ってやれよ」
「はあ!?」
「こんな時間に1人で返すわけにいかんだろ」
「分かったよ。愛生ちゃん。家変わってない?」
「うん」
「俺との約束はまたでいいから」
吉沢くんは帰って行った。
「ごめん。2人約束してたよね」
「別に大した用じゃないから」
そう言って歩き出す。
私も孝佑くんについて行く。
「いつ帰ってきたの?」
「1週間前ぐらい」
「家族で?」
「いや。一人暮らししてる」
「そうなんだ」
静かな空気が流れる。
「ついたよ」
「え!?」
あっという間に家に着いた。
「覚えてたんだ家」
「ああ。俺、あそこのマンションに住んでるから」
私の家からすぐのところだ。
「そうなんだ。じゃあ、いつでも遊びに来て」
「ああ。じゃあな」
「うん。ありがとう」


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