【完】本当の恋
再会     谷川愛生
「愛生。おはよう」
「おはよう」
私は桜王高校に通う高校2年。
私の中学からの親友、野々上桃子
「愛生。急がないと遅刻するよ!」
私たちは走って学校に向かう。
 ドンッ
私は曲がり角のところで出てきた人とぶつかって倒れる。
「痛っ」
「ごめんなさい」
私は起き上がって謝った。
「愛生!早く」
私は深々と頭を下げて桃子のところに向かった。
キーンコーン カーンコーン
お昼休みになった。
お昼休みになると私たちは屋上に向かう。
すると、屋上には私たちより先に人がいた。
『誰だろう』
その人は髪は黒色で整った顔。
イヤホンをしていたのでこちらの声は聞こえていないだろう。
私たちはその人から離れたところで弁当を食べる。
「ねえ。あの人誰だろう」
私は小声で桃子に話しかける。
「見たことない顔。1年生じゃない?」
「何で1人なんだろう」
「さー」
桃子は立ち上がり彼の方に向かう。
「ねえ。君1年生?」
彼は桃子のことをちらっと見てケータイに目をやる。
「ちょっと、無視!?」
「・・・」
「桃子。いいよ」
私は桃子の腕を引っ張った。
「何なのよ。感じ悪っ」
桃子はぐちぐち言いながら弁当を食べる。
彼はしばらくして屋上を出ようとしていた。
「感じ悪男!」
桃子が大きな声で言うと彼はこちらを見た。
「桃子やめな!」
彼は何も言わず出て行った。
私は気になって彼のあとを追った。
「ちょっと。すいません」
 ガシッ
私は彼の腕を掴んだ。
「桃子が失礼な事言ってすいませんでした」
「・・・」
「怒るのも分かります。でも、許してもらえませんか」
「お前、2回目。俺に謝るの」
「えっ!?」
彼の顔を見ると彼は私が朝ぶつかってしまった人だ。
「あ、あの時の!」
「てか、何でお前が謝んの?」
「それは、私が桃子の親友だから」
そう言って、屋上に行った。
「フッ。面白いやつ」
私たちは教室に戻る。
 ガラガラッ
「みんな。席について!」
「はーい」
「今日からうちのクラスに転入者が来ます」
 ざわざわ
「静かに!!」
「先生!男ですか?」
「はい」
 ざわざわ
「はいはい!矢神くん。入って」
 ガラガラッ
みんなは入り口に注目する。
入ってきた人は、黒縁メガネにぼさぼさな黒髪。
「あの、矢神孝佑といいます。よろしくお願いします」
 ドンッ
矢神くんは思いっきり頭を下げて教卓におでこをぶつけた。
教室が静まり返る。
「や、矢神くん?大丈夫?」
「はい」
「じゃあ、谷川さんの隣に座って」
「あ、はい」
矢神くんは隣の席に座った。
「あの。教科書見せてもらっていいですか?」
「うん。いいよ。私、谷川愛生」
「知ってる」
「え!?」
「俺のこと忘れた?」
そう言ってメガネを外し、髪を直す。
「えっ!?」
私は驚きのあまり大声を出してしまった。
みんなが私に注目している。
「谷川。そんなにこの問題驚くか?」
「「あははは」」
「すいません」
私は静かに座る。
彼は、小さい頃近所に住んでいた孝佑くんだった!
「さっき会ったのに」
「え?」
「2回も」
「えっ」
叫ぼうとした私の口を孝佑くんの手で押さえられた。
「しーーっ」
私はコクリとうなずいた。
孝佑くんはゆっくりと手を放す。
「久しぶり。愛生ちゃん」




< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop