【完】本当の恋
遊園地デート 谷川愛生
次の日、昨日のことを桃子に話す。
「何それ!痴漢は大丈夫なの?」
「うん」
「てか、矢神と帰ったなんてすごいよ」
「うん」
「吉沢って人にお礼したの?」
「まだ」
「ケータイ貸して」
桃子は吉沢くんにメールを送った。
《 吉沢愛斗
昨日はありがとうございました。
お礼したいので今週の日曜日空いていますか?
  谷川愛生》
「よしっと」
 ピロリン~
《 谷川愛生
空いてるよ!
じゃあさ、俺と孝佑と愛生ちゃんと愛生ちゃんの友達で遊園地行かない?
  吉沢愛斗》
「これって、Wデートってことだよね」
《 吉沢愛斗
行きます
では、日曜日に
  谷川愛生》
「よっしゃ!気合入れていくぞっ」
「おすっ」
そして、日曜日。
「おーい。ごめんね。まった?」
「ちょっと。私、タイプなんですけど」
桃子は小声で私に伝えた。
「初めまして。愛生の友達の野々上桃子です」
「俺、吉沢愛斗。よろしく」
私は、孝佑くんを見た。
すると目が合い私はすぐにそらした。
「じゃ、行こうか」
桃子と吉沢くんはいい感じだ。
「愛斗。ここ行こう」
「オッケー。じゃあ、ここからは別行動で」
「愛斗早くー」
「おい。ちょっと」
私たちは2人っきりになってしまった。
「あの、どこ行きます?」
「ああ。どこでもいいよ」
「じゃあ、ジェットコースター乗ろう」
「おお」
「「キャーーー」」
「楽しかったね」
「あ、ああ」
「孝佑くん大丈夫?」
「だ、大丈夫」
『孝佑くんは昔から高いところが苦手だっけ』
「少し休もうか?」
私たちはベンチに座る。
「飲み物買ってこようか?」
「俺が行くから」
「いいって」
「愛生は座ってろ」
『あ、愛生!?』
「今、愛生って言ったよね!?」
「あ・・・」
「初めて愛生って呼ばれた」
「そうだっけ?」
「うん。愛生ちゃんって呼んでたのに」
「じゃあ、俺のことも孝佑って呼んで」
「えっ。・・すけ」
「え?」
「孝佑っ」
顔が赤くなるのが分かる。
『孝佑の顔見れないよ』
「愛生ー」
そこに、桃子と吉沢くんが来た。
しかも2人は手を繋いでいる。
「俺たち付き合うことのなったから」
「「えっ!!」」
「お前ら会って5時間しか経ってないぜ」
「恋に時間なんて関係ない」
「そーいうこと」
「ってことで、そろそろ行きますか」
私たちは遊園地を出た。
「じゃあ、俺たちはここで」
「愛生。明日ね」
「うん」
「孝佑くんとがんばって!」
桃子が耳元でささやいた。
一気に顔が赤くなる。
「バイバイ!」
吉沢くんと桃子はお似合いのカップルって感じですごく幸せそうだった。
「俺たちも行くか」
「うん」
私たちも家に向かう。
「今日は楽しかったね」
「そうだな」
「今度は水族館に行きたいな」
「あのさ・・・」
孝佑くんが何かを言いかけた時
「孝ちゃーん」
後ろから人が来る。
その人は孝佑くんの背中にギュッと抱きついた。
「おい!やめろ」
「照れちゃって。早く帰ろうよ」
「先行ってていいから」
「一人じゃ寂しい」
「分かったよ」
この人は私のことを見ずに孝佑くんを引っ張って家に行ってしまった。
「愛生。明日な」
あんな2人見てられない。
急いで家に入り2階の部屋に行く。
 ドンドンッ
「愛生!静かにしなさい」
 ドフッ
私はベッドにダイブ。
こぼれる涙を必死に拭う。
『そうだよね!12年も経つんだし彼女くらいいるよね』
「うっ・・」
分かってるはずなのに涙が止まらなかった。



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