【完】本当の恋
当たって砕けろっ!   谷川愛生
次の日、目がパンパンに腫れていて、妖怪みたいな顔になっていた。
いつもより倍のマスカラをつけてごまかす。
「おはよ。愛生、目腫れてるよ」
「あ、ごめん。映画見てて泣きすぎた」
「大丈夫?顔洗ってきなっ」
「うん。ありがとう」
今の私は何をやっても昨日のことで頭がいっぱい。
「・・川、谷川!ぼーっとして。この問題解いてみろ」
「あ、はい」
突然当てられて困っていた私。
「2x-1」
孝佑がそっと答えを教えてくれた。
「あ、2x-1です」
「正解だ」
孝佑を見ると私にピースサインをしていた。
『こんなことされたら好きになっちゃうよ』
お昼休み、私は桃子に相談した。
「愛生は矢神のこと好きなの?」
コクリとうなずく。
「じゃあいいじゃん」
「えっ」
「愛生が矢神のこと思っていたらきっと振り向いてくれる。それに、彼女かも分からないし」
「そうかな・・・」
「愛生!自信持ちなって。愛に生きる。それが愛生でしょ!」
桃子に励ましてもらえて元気になった。
「ありがとう。桃子大好き」
「私だって、愛くんの次に好き」
「一番じゃないんだ」
「一番は愛くん!」
「うんっ!」
私は孝佑に告白することにした。
この恋を終わらす意味でも・・・。
「孝佑。一緒に帰らない?」
「ああ」
私たちは一緒に帰る。
「あのさ・・・」
「ん?」
読んでいた本を閉じてこっちを向く。
「私、孝佑のこと・・」
「孝ちゃーん」
この声は、昨日の彼女。
「何々。デート」
「やめろよ。姉貴っ」
「姉貴!?」
「ああ。紹介するよ」
「孝ちゃんのお姉ちゃんの矢神エミリです」
彼女じゃなかった。
私は、一気に力が抜ける。
「姉貴は、再婚した母方の娘。血つながってないが」
「あ。そろそろダーリン帰ってくるから先に帰るね」
「ああ」
「あ、昨日のおかず食べてね。じゃ」
お姉さんは早足で帰って行った。
「ごめん。で、話って?」
「・・・かった」
「え?」
「よかった」
私の頬には涙が流れていた。
「ご、ごめん」
「・・き」
「えっ?」
「孝佑のこと好き」
孝佑の顔が赤くなる。
孝佑はぶつぶつ言っている。
「え?」
「俺の方が、愛生のこと好きだって言ってんの!」
孝佑はお声で叫ぶ。
周りの人が見るくらい。
「愛生。俺と付き合ってください」
「はい」
こうして私たちは付き合うことになった。
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