【完】本当の恋
決意   矢神孝佑
「孝ちゃん。お願い」
姉貴は俺に愛生と別れろと言ってきた。
「なんでだよっ」
「あの子のせいで孝ちゃん死にかけたのよ!」
「だからなんだよ」
「もう、孝ちゃんが危険な目に会ってほしくないの」
「だからって」
「アメリカに帰りなさい」
「はあ!?」
「お父さんの、病気が悪化したの」
「え!」
「お母さん一人じゃ大変だから」
「姉貴が行けばいいだろ」
「私は、お父さんと縁切ったから」
「でも、別れることないだろ!!」
「孝ちゃん!じゃあ、ずっと愛生ちゃんの側に居れる?」
「・・・」
「もし、前みたいなことがおきたら?孝ちゃん守れるの?」
俺は、黙り込んでしまった。
「孝ちゃんのためにも、愛生ちゃんのためにも別れなさい」
『一人にしろって言ってんだろ』
愛生からの電話俺は愛生にきつく言う。
電話越しに今にも泣きだしそうな愛生の震えた声。
『愛生。ごめんな。俺、こんなことでしか愛生のこと守れない』
俺は、愛生と別れることを決めた。
「姉貴。俺、アメリカに行くよ」
日本出発まであと2週間とちょっと。
愛生。
元気かな。
ごめんな。
そして、とうとう出発2日前。
 ピーンポーンッ 
「はーい」
 ガチャ
「あら。愛生ちゃん」
愛生が姉貴の家にきた。
「孝佑。何で。無視するの?」
「・・・」
「私、孝佑からの返事ずっと待ってる。今でも」
「・・・愛生ちゃん。落ち着いて」
愛生は話しながら泣いている。
「孝佑にとって私はただの友達かもしれない。でも、私は、好き」
「愛生ちゃん。あのね」
「姉貴。黙ってろ」
部屋が静まる。
「愛生。俺、明後日アメリカに行く」
「え!?」
「実はさ、アメリカの彼女がより戻したいんだと」
「・・・」
「愛生。俺、お前とは遊びだから」
「孝ちゃん!!」
「もう二度と会いたくない。出ていけ」
「・・・」
「出てけよっ」
「孝佑、ありがとう。遊びでも私と付き合ってくれて。楽しかった」
愛生は出でいく。
「孝ちゃん。いいのこれで?」
「ああ。これでいい」
「あんたって本当バカね」
「こうするしかないんだよ」
「親父のこと母さん一人で任せられないし」
「孝ちゃん。ごめんね。孝ちゃんばっかり我慢させて」
「いいよ。姉貴は家族がいるから」
「孝ちゃん・・・」
「じゃ、俺、マンションの片づけしてくる」
「うん」
「短い間ありがと」
俺は、合鍵を渡す。
「孝ちゃん、ごめんね。孝ちゃんにばっかり我慢させて」
「いいよ。もう。決めたことだから」

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