風神さん。
「ある日のこと。僕は森を歩いていたーーーー」
僕はどうやら昔から風魔道士だったみたいで、嘆きながら森を歩いていた。
僕がもっと強かったら。もっと魔力を持っていたら。
そう、嘆いていた。愛する人を守れなかった、と僕は呪われたようにつぶやいていたのは覚えているけれど、誰が愛する人なのか、どんな悲しみなのかも忘れた。
その時、茂みから現れたのは、月の光を反射させ、見入るほどの美しい毛並みを持った銀狼だった。
その銀狼は話したんだ。僕に。
力が欲しいのか?と。
その銀狼の瞳はまるで木々に囲まれ見えなくなった蒼い空をそのままうつしたようで。
僕は泣きながら、頷いた。