【完】ズルい瞳[短編]
この優しさは何ですか?
6月、季節は梅雨を迎えていた。
相変わらず、蒼ちゃんは蒼ちゃんで
2人きりの時間であればあるほど素っ気ない、と言うか
むしろ、冷たく突き放すような態度を見せている。
誤解されてはいけないという、変なプレッシャーがそうさせているのかもしれないけど
それはそれで深く傷付いている私がいた。
だけど昔の蒼ちゃんを懐かしんでばかりもいられない、そう思った私は
最近とある決断を下した。
それは……。
“現在、担任で且つ副顧問の城崎蒼は私の知っている蒼ちゃんではない”と。
自分にそう強く深く思い込ませることで
受ける痛手を軽減させようとする防衛本能を働かせようとする
実にマイナス的・逃避的な思考だ。
「雨……ひどくなってる」
夕方になって更に激しく降り始めた雨を
美術室の窓からそっと見つめる。
運動部はこの雨の影響で、今日の部活を諦めたらしく
「ふふ、ラッキー♪ほじゃ私らは帰るね~」
テニス部のエース美佳も
「チクショ、明後日は大事な試合だってのによ」
サッカー部キャプテンの信之介くんも
みな思い思いの気持ちを抱えながら、帰宅の途について行った。