【完】ズルい瞳[短編]
「だ、大丈夫です。傘持ってきてますから」
「傘レベルの雨じゃねぇよ」
「だとしたら母に迎えを頼みます」
「祥子さん、今日は夜勤だろ」
どうして蒼ちゃんがそんなことを知っているのか不思議に思ったけど
担任なら生徒ひとりひとりの緊急連絡先くらい把握しているのだろう。
「俺が車で送ってやるから」
「………」
蒼ちゃんからの提案を前に、思わず動きが止まってしまう私。
車……蒼ちゃんが運転する車。
だけど、その助手席はあの日すでに萌香先生を乗せたもの。
と、言うより
過去、いろんな女性を気軽に乗せてきたであろう、その助手席に
座るなんて……絶対にイヤ!
「結構です。2駅くらい歩いて帰れますから」
「バカか!どんだけ時間がかかると思ってんだよ!?」
「3時間くらい大したことないです」
「あおいっ!」
私の言葉に苛立ちを隠せない蒼ちゃん。