【完】ズルい瞳[短編]



その心配は……




私が蒼ちゃん担任の生徒だから



副顧問を務める美術部の部長だから




だよね?




担任や顧問という責任感から、してくれる当たり前の優しさなんて




誰にでも差し伸べる、そんな優しさなんて




………いらない。




そんなの、欲しくもない。








「いいか、待ってろよ!?俺も帰り支度して、それから昇降口に車つけるから」




「………」




その言葉に返答はしない。




だって




この時の私はもう既に




歩いて帰ると決めていたから。




「10分後に昇降口でな!」




「………」




慌てる蒼ちゃんの後ろ姿を見送った後




急いで帰る準備をし、それから




逃げるようにして美術室を後にした私。




降りしきる暴風雨に、一瞬の戸惑いはあったものの




「よしっ!」




自分を鼓舞して嵐の中を突き進む。




走りだしてから数秒後には




傘の存在すら疎ましいと感じる、そんな激しい雨の中を1人。





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