【完】ズルい瞳[短編]
それは嫉妬ですか?
「うぉぉぉぉ~ビバ夏休み!」
信之介くんはまだHRだというのに突然、教室に響き渡るような奇声を上げた。
「おい信之介。お前も一応受験生なんだから、あんまハメを外すなよ?」
教壇に立った蒼ちゃんは半ば呆れ顔で信之介くんを諭す。
「いや、だって先生。俺ら部活も終わっちまったしさ?今はこの有り余る体力を何とかして発散させたいんだってばよぉ」
「お前の場合、その有り余った体力を頭の方に活かして欲しいのだが」
「先生……それは言わない約束っしょ」
最近、蒼ちゃんと信之介くんのこんなやり取りが
受験モードで、とかく暗くなりがちなクラスの雰囲気を和ませてくれている。
それに何より、蒼ちゃんが嬉しそうなのが
私も嬉しい。
「夏休み終わった直後には実力テストもあるんだ。やるべきことは、しっかりやっておけよ?」
「わぁってるって先生。だから夏休みの前半は、俺のあおい姫とデートしまくるぜ」
「…………え?」
夏休み課題プリントに目を向けていたので、信之介くんが何を言っていたのか分からなかったのだけど
「ヒューヒュー!やるじゃん村瀬!」
クラスみんなからの好奇な視線で、だいたいのニュアンスは理解した。
また、信之介くん変なこと言ったんだ。