【完】ズルい瞳[短編]
「でも……悪かったな」
私が食後のプリンを食べ終える頃
不意に蒼ちゃんが申し訳なさそうに言った。
「せっかくの文化祭、他の連中と回りたかったろ?それをビジネス的策略でお前を幽閉しちまって……」
賑わう校庭の様子を眼下に眺めながら
淋しそうに呟く。
「そ、そんなことないです。私は……先生と一緒にいられて楽しいですから」
これは本音。
他の誰でもない。
蒼ちゃんと2人でいたいから。
蒼ちゃんのそばにいられて私……
本当に幸せなんだよ。
「くっ……嬉しいこと言ってくれるねぇ。ホント涙出るわ」
蒼ちゃんは、そうやってすぐにいつも茶化すけど
「ほ、本当にそう思ってるんですからねっ!?」
かくいう私も、そうやってすぐにムキになってしまう。
ホント、子ども。
そんな私を、包み込むような温かい瞳で見つめてくる蒼ちゃん。
「ばーか、冗談だよ。サンキュ……って」
でも私の顔を見て、何かに気付いたのか
蒼ちゃんは呆れたような、でも優しく柔らかな瞳で
一歩また一歩と、ゆっくり歩み寄ってきた。
「え……?」
思いがけず縮まる距離。
心臓が急に早打ち始める。