【完】ズルい瞳[短編]
あの文化祭でのキスの後。
少しは蒼ちゃんとの関係も変わるのかなって
ほのかに期待してしまった私もいたのだけど
その後も、蒼ちゃんは決して“教師”の顔を崩さなかった。
交わしたキスに
まるで何も意味なんか無かったように。
「先生、決意表明って何だよ?」
信之介くんが面倒くさそうに尋ねると
「まぁ簡単に言えば、自分の叶えたい夢だな。どんな小さなことでもいいし、はたまたスケールのデカいことでもいい」
蒼ちゃんは、まるで子供のよう瞳を輝かせて言った。
すると
「あ、じゃあ俺!先に宣言するわ」
信之介くんはいきなり立ち上がり、スッと右手を挙げてみせる。
「俺は実家の今の酒屋を更にでっかくして、それから……」
次の瞬間、視線を何故か私にと注いでくる信之介くん。
「あ、あおい姫と超ラブラブ結婚してだなぁ……そんでまぁ~3年後?くらいに男の子と女の子1人ずつの子供を授かって……」
「はいはい、わかったわかった。お前の戯れ言はよーくわかった。さ、次の奴いるか?」
話のクライマックスで悦に入っていた信之介くんを弾き飛ばすかのよう、蒼ちゃんは口を挟んだ。
「俺の話を最後まで聞けやぁ!」