【完】ズルい瞳[短編]
「ば、ばかっ!危ない」
そんな声が聞こえてきた次の瞬間には
バサバサッバサッ!
大小さまざまな本が頭上から次々と落ちてきた。
「!」
思わず目を固く閉じたのだけど
不思議とその衝撃や痛みは無くて……。
気付けば
「あ………」
蒼ちゃんが私に覆い被さるようにして、その衝撃から身を守ってくれていたのだった。
「そ、蒼ちゃん……」
「ばか。城崎先生だろ?」
苦痛の笑みを浮かべながら、それでも“教師”としての表情を崩さない蒼ちゃん。
「お前、そそっかしいな。そういうところホント昔と変わらな……っ!?」
思いがけず近づいた2人の距離。
私はもう自分の気持ちを抑えきれなくなってしまい
思わず、そのまま蒼ちゃんの身体に抱きついてしまっていた。
「あおい……ここ学校」
呆れたような蒼ちゃんの声を頭上に聞く。
だけど久しぶり“あおい”と呼んでくれたのが、たまらなく嬉しくて
私はそのまましばらく動くことが出来なかった。