【完】ズルい瞳[短編]
蒼ちゃんが纏う香りはとても柔らかくて懐かしくて
安心する。
そこに新たに煙草の残り香も加わったのだけど
それも含めてすべてが、今の蒼ちゃんの香り。
「私、ずっとずっと蒼ちゃんに会いたかった」
「………」
「私…やっぱり蒼ちゃんが好き」
「………」
子供の頃に抱いていた恋心。
それは今も変わらず、色褪せないままに私の心を彩る。
会いたくて会いたくて会いたくて
ずっと会うことの出来なかった蒼ちゃんに、今ようやく再会し
その色はより一層、色濃く強烈に私の心に刻んでいった。
「蒼ちゃん、大好き」
そう言って、もう一度強く抱き締める。
だけど
「悪いな。俺はお前のこと、生徒としてしか見れねぇよ」
耳に届いたのは、悲しくなるくらい冷たい
そして、無感情な蒼ちゃんの一言だった。