俺様不器用男子の甘い愛情
茉璃の腕をよけて、自然と「ダメだ」ってことを伝える。
もう俺らは恋人同士じゃないから。
「隼世くん………」
「暗くなる前に帰るか。制服取って来る」
「待って下さいっ…」
「何?」
「……ううん、やっぱり…いいです」
胸が締め付けられる思いで、部屋を出て平然と洗濯機から乾いた制服を取り出した。
小さなブラウスにでさえ、茉璃を感じる。
制服を渡してまた着替えさせる。
ジャージに茉璃の匂いが残るのが切ない。
好きの二文字が言えたら、どんだけ楽になれるか……。
「じゃあ……帰りますね。隼世くん。ありがとうございました」
「ん、別に。……危ないし、駅まで送ってくわ」
「いいのに。あたし一人で帰れるよ」
「早く帰るぞー」
もう雨はやんでいた。
雨上がりの冷たい空気だけが、沈黙の俺らを包む。
そいえば、結局茉璃から話聞かなかったな………。
アイツも言わなかったし。