俺様不器用男子の甘い愛情



試合が終わったのに、なんだか隼世くんは忙しそうで。


恭平くんと二人でいつも部活内の話し合い。


主将や副主将を誰にするか…って。



「隼世くん……忙しそうですね」

「主将は色々とやること残ってんだよ」

「無理してない?大丈夫?」

「してねぇよ。じゃ、このあと監督と話あるから先帰っててな」

「……うん」


あたしの頭をくしゃっと撫でた。


試合が終わったのに一緒に帰れないのはツライけど、隼世くんの方がツライに決まってる。


一人とぼとぼ廊下を歩くと「茉璃ー!」とあたしを呼ぶ明るい声。


すぐに分かります。


「玲菜ー!」

「よかったら、一緒に帰ろ?お互い彼氏に放置されてる身として♪」

「ふふっ、そうだねっ」



久しぶりに玲菜と二人で歩く。


それが楽しくって。


「恭平も隼世くんも忙しそうよね~。泣く暇ないだろうな…」

「泣く暇?」

「うん。試合のあと悔し泣きしてる選手多かったけど、主将と副主将は泣かなかったって。チームの指揮とか気にしてね」



このまま我慢してたら、隼世くんの息詰まっちゃいますよ……。


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