来い恋

前途多難な出張の始まり?

旅行から帰ってきて1週間がたった。
あの旅行で気持ちも体も一つになりこれから
ラブラブな同棲生活が始まると思っていたが
世の中そんなに甘くはなかった。
「出張?今から?」
珍しく定時で帰って来たかと思えば今から出張で2~3日泊りと聞かされた。
「来週から始まる、『日本の伝統工芸10人の匠』
って催事があるのはしってるだろ?」
「うん知ってる」
日本を代表する日本の伝統工芸、その中でも有名な職人さんたちを迎えて
実演販売するという催し物だ。
このプロジェクトに亮輔さんもうちの課の代表として参加しており
亮輔さんは京都の伝統工芸「京くみひも」を担当していた。
「俺の担当する京くみひもの「深田組紐店」そこの当主であり職人でもある
深田栄吉(ふかだえいきち)さんが入院することになり催事の参加が
急遽キャンセルになったんだ。」
催事まであと3週間。
直ぐにでも代わりになる職人を捜しに行かなくてはならなくなった。
「あてはあるの?」
「・・・一応2に絞った。今からとりあえず深田さんの所へ行って話を聞きに行き
今後の事を決めたりする。だから2~3日は帰れないかもしれない。」
「じゃあー急がないと。私、出張に必要なもの用意するから
亮輔さんは着替えて準備して」
そういってクローゼットを開けようとすると
後ろから亮輔さんに抱きしめられた。
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