来い恋
「・・・・亮輔さん?」
「あー行きたくねぇー。」
亮輔さんらしくないセリフにふふっと笑ってしまった。
抱きしめる腕に自分の手を重ねる
「亮輔さんらしくないセリフですね。やっぱり職人さんとか
怖そうなイメージだから行きたくないんですか?」
すると亮輔さんは抱きしめた手を離し私を自分の方へ向かせる。
「そんなんじゃないよ。」
「じゃあなんで?」
「出張はいいんだよ。ただ同行者に問題ありなんだよなー」
思いっきり嫌そうな顔をするものだから
よっぽど相性の悪い他部署の管理職かと思ったが
彼の口から出た名前は意外な人物だった。
「え!四宮さん????」
何でよりによって四宮さんなの?
私も驚きを隠せない。
亮輔さんは彼女があまりお好きでないのはよく知っているが
四宮さんは亮輔さんにゾッコンだ。
「亮輔さん!」
「ん?」力なく答える亮輔さんの手をぎゅっと握る。
「いいですか!ぜーったいに私たちの事がばれるような行動は
謹んでください。メールも電話も彼女のいない時にお願いします」
あまりに真剣にいう芽衣をキョトンとした顔でみる亮輔
「私には一応、ハンバーグを作ってあげる彼氏がいるって事に
なってるんですからね。」ウインクした。
「あーやっぱり行きたくない。芽衣のハンバーグ食べたいし
芽衣も食べたい・・・」
その言葉に顔が赤くなってしまった。
「もー!何言ってるんですか!」
「だって嘘じゃないし」
旅行から帰って来てからの亮輔さんは前よりも甘甘になってるような気がする。
そんな彼をすごく愛おしく思うがこれ以上はエスカレートしてほしくないかも。
本当は私も亮輔さんと一緒にいたいし四宮さんと共に行動なんて
凄く嫌だけど・・・・我慢だよね。
「出張から帰ってきたらその日の夕飯はハンバーグにするから
出張頑張って!」
そういって頬にチュッと軽いキスをした。
「ハンバーグと芽衣がいい」
ぐっと引き寄せられ鼻と鼻がくっつきそうだ
「わ・・・わかりました。わかったから放して・・」
「まだ放さない」
そういって私たちは別れを惜しむようにキスをしたが
何だかわざとらしさを感じたのは私の思い違い?

準備が整うと
亮輔さんは京都へと向かった。
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