来い恋
「亮輔さん。」
「ん?」
「私、恋愛ってマンガみたいにある程度の年齢になると自然に彼氏ができると
思い込んでいたんです。小学生の頃は少女マンガが全てだったので。」
亮輔さんは私の話を真剣に聞いていた。
「初めてだったんです。マンガ以外でかっこいいと思える男の人に会ったの・・・
小6の時、お通夜と葬式の時あった・・・お兄ちゃん。
私はあの時初めて胸がキュンとなったんです。
だから・・・あの時・・・少しでもおにいちゃんを励ましたかった。」
「芽衣?・・・・それって・・・」
「あれが私にとって初恋だったのかもしれない・・・」
亮輔さんは顔を真っ赤にさせて驚いていた。
「でも・・・なんかずるくないですか?」
「ずるい?」
「何で私に会いに来ないで私の両親とかに私の事聞くんです?
気になってるのなら家に来たらよかったじゃないですか!」
「お・・おい!」
うれしいけどむかつく。
こそこそと私の事聞いてさ~
「だって、もっと早く会っていればこんな遠回りなやり方をしなくたって
私は・・・」
「私は?」
「きっと好きになってた。」
そうよ!私の成長とか亮輔さんの年齢差とかそんなのどうでもよかったのよ。
もっと早く会っていればお見合いなんかしなくたって
私はきっと好きになってた。
私の言葉に亮輔さんはばつが悪そうに頭を掻くと大きなため息をついた。
「まじかよ・・・」
自分のやってきたことをすごく後悔している様だった。
「もったいないですよ・・・」
「もったいなかったな」
「私、ずっと少女マンガみたいな恋をしたいと思ってたのに・・・
亮輔さんとならそんな恋がきっとできたと思ったのに」
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