【完】私と先生~私の初恋~
「ごめんなさい、行ってきます。」


「はい、ではまた後で。」



呼び出された恥ずかしさと、先生に触れられたドキドキで耳が熱くなっているのを感じながら、私は急いで職員室へと向かった。


遅れたものの、リハーサルも無事に終了。


スタンバイの為に会場に向かう。


会場となっているのは来賓玄関前のだだっ広い玄関ホール。


その場所は3階まで大きな吹き抜けになっていて、そこでストリートライブ形式で行われる予定だった。


14時になり公演スタート。


最初こそまばらだった観客達は、一年生の数名が歌い終える頃には相当な数になっていた。


ここまで観客が増える事を予想していなかった私は、やっぱりまた激しく後悔していたのであった。

あと一人で自分の番となった時、私は初めて知り合いを探して観客達の顔を見渡した。


一番前に友人達数名。その少し後ろに友人達の家族がチラホラ。が、先生の姿はない。


あれ?っと思って上に目をやると、先生は2階からこちらを眺めていた。


ちょうど歌うときに立つ場所の真正面。


なんでよりによってソコなんだ…しっかり見えちゃうじゃないか…と心の中でツッコミを入れていると、すぐに自分の番は回ってきた。


促されるまま、皆の前に立つ。


私は観客達の顔を見ないようにしながら、緊張を抑える為に2.3回深呼吸をすると、準備OKの合図をした。


声の無いせーので、歌い始める。


歌いながら少し上に目線をやると、先生と目が合った。


いつもより少し真剣な顔で、でもやっぱりニコニコしながら先生は私をじっと見ていた。
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