【完】私と先生~私の初恋~
途端に頭が真っ白になって目が離せなくなる。
甘酸っぱくて恥ずかしかった歌詞は、いつのまにか私の気持ちと同調して、気がつくとただ淡々と先生にだけ聞かせているかのように歌っていた。
歌い終わりホッと一息深呼吸して一礼すると、シーンとしていた会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
途端に我に返って恥ずかしくなり、私は逃げるように早足でその場から立ち去った。
真っ赤な顔で一目散に屋上を目指す。
無意識に先生だけ見て歌っていた事が凄く恥ずかしく、なんであんな事になっちゃったんだろうと後悔で自分を責めた。
屋上について携帯を開くと、友人達からメールが来ていた。
良かったよ~凄かったよ~周りの人も褒めてたよ~というお褒めの言葉に少しだけ嬉しくなってニヤニヤしていると、「早苗さん」と、関岡先生の声がした。
「やっぱりここにいた。」
ニコニコしている先生と目が合うと、また私の顔はカーっと熱くなった。
「凄かった。他の子達には悪いけれど、ずば抜けて一番上手でしたよ。」
先生はニコニコしながら言う。
私はブンブンと首を振った。
「そんな事無いです、私はそんなに上手じゃないです。」
恥ずかしさに下を向く。
何だか気持ちが高揚しすぎて、なぜか自然に目が潤んでしまう。
耳まで真っ赤にした私の様子にハハっと笑うと、先生は私の頭をポンポンと撫でた。
「恥ずかしがらないで、自信を持って。」
聞き覚えのある懐かしい言葉に一瞬だけ間を置いて、私は思わずクスっと吹き出した。
「先生、前もそういってくれましたね。」
「そうでしたっけ?」
目が合うと、なぜか私達はアハハと笑い合った。
いつもと変わらない先生の様子に、いつの間にか私の心は落ち着きを取り戻していた。
「さて、それじゃそろそろ僕は帰りますね。」
「はい、今日はどうもありがとうございました。」
「じゃあまた。」
先生が小さく手を振って背を向ける。
中学2年の頃に止まってしまった時間が、また動き出す音がした。
甘酸っぱくて恥ずかしかった歌詞は、いつのまにか私の気持ちと同調して、気がつくとただ淡々と先生にだけ聞かせているかのように歌っていた。
歌い終わりホッと一息深呼吸して一礼すると、シーンとしていた会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
途端に我に返って恥ずかしくなり、私は逃げるように早足でその場から立ち去った。
真っ赤な顔で一目散に屋上を目指す。
無意識に先生だけ見て歌っていた事が凄く恥ずかしく、なんであんな事になっちゃったんだろうと後悔で自分を責めた。
屋上について携帯を開くと、友人達からメールが来ていた。
良かったよ~凄かったよ~周りの人も褒めてたよ~というお褒めの言葉に少しだけ嬉しくなってニヤニヤしていると、「早苗さん」と、関岡先生の声がした。
「やっぱりここにいた。」
ニコニコしている先生と目が合うと、また私の顔はカーっと熱くなった。
「凄かった。他の子達には悪いけれど、ずば抜けて一番上手でしたよ。」
先生はニコニコしながら言う。
私はブンブンと首を振った。
「そんな事無いです、私はそんなに上手じゃないです。」
恥ずかしさに下を向く。
何だか気持ちが高揚しすぎて、なぜか自然に目が潤んでしまう。
耳まで真っ赤にした私の様子にハハっと笑うと、先生は私の頭をポンポンと撫でた。
「恥ずかしがらないで、自信を持って。」
聞き覚えのある懐かしい言葉に一瞬だけ間を置いて、私は思わずクスっと吹き出した。
「先生、前もそういってくれましたね。」
「そうでしたっけ?」
目が合うと、なぜか私達はアハハと笑い合った。
いつもと変わらない先生の様子に、いつの間にか私の心は落ち着きを取り戻していた。
「さて、それじゃそろそろ僕は帰りますね。」
「はい、今日はどうもありがとうございました。」
「じゃあまた。」
先生が小さく手を振って背を向ける。
中学2年の頃に止まってしまった時間が、また動き出す音がした。