【完】私と先生~私の初恋~
「違います!そうじゃなくって…
どうして怪我をしたのか聞いてるんです。」
私が少し強く言うと、先生は困ったように苦笑いしながらドカっとソファに腰を下ろした。
「いやぁ…お金を返した後領収書くれって言ったら、じゃあコレを握れって小さいナイフの束みたいのを差し出されたんですよ。」
先生は楽しい思い出を語るように、ニコニコしながら話している。
「だからそれをこう…ギュッと。
そしたらいきなり引っこ抜くもんですから……
まぁこんなもので済んで良かったですよ。」
先生が笑う。
私はニコニコしながら握ったであろうその時の先生を想像して、思わず顔をしかめた。
「大丈夫、大した事無いですから。心配しないで。」
明るく言う先生の声に、私の目から涙が溢れた。
先生は音楽教師。
手は商売道具のような物だ。
一歩間違ったら、先生は一生ピアノが弾けなくなっていたかもしれない。
それなのに先生は相変わらずニコニコして、気にも留めてる気配が無い。
「ごめんなさい…先生ごめんなさい…大事な手なのに…」
私は複雑な思いで胸が一杯になって、謝ることしか出来なかった。
立ったまま、泣きながら先生に謝り続ける。
「大丈夫ですって。
……それに僕の方こそ、貴女に謝らないといけません。」
「…どうして…ですか?」
私がシャックリをしながら聞くと、先生は凄く神妙な面持ちで下を向いた。
どうして怪我をしたのか聞いてるんです。」
私が少し強く言うと、先生は困ったように苦笑いしながらドカっとソファに腰を下ろした。
「いやぁ…お金を返した後領収書くれって言ったら、じゃあコレを握れって小さいナイフの束みたいのを差し出されたんですよ。」
先生は楽しい思い出を語るように、ニコニコしながら話している。
「だからそれをこう…ギュッと。
そしたらいきなり引っこ抜くもんですから……
まぁこんなもので済んで良かったですよ。」
先生が笑う。
私はニコニコしながら握ったであろうその時の先生を想像して、思わず顔をしかめた。
「大丈夫、大した事無いですから。心配しないで。」
明るく言う先生の声に、私の目から涙が溢れた。
先生は音楽教師。
手は商売道具のような物だ。
一歩間違ったら、先生は一生ピアノが弾けなくなっていたかもしれない。
それなのに先生は相変わらずニコニコして、気にも留めてる気配が無い。
「ごめんなさい…先生ごめんなさい…大事な手なのに…」
私は複雑な思いで胸が一杯になって、謝ることしか出来なかった。
立ったまま、泣きながら先生に謝り続ける。
「大丈夫ですって。
……それに僕の方こそ、貴女に謝らないといけません。」
「…どうして…ですか?」
私がシャックリをしながら聞くと、先生は凄く神妙な面持ちで下を向いた。