「ねぇ光」



安い豚肉をカゴに入れて、またもや急遽決まったおやつパーティーのためにお菓子やジュースをたくさんカゴに入れた。



「ん?なに?」




「さっきの電話、本当に急だったの?」




「え?どういうこと?」




「いや…昨日の時点でちょっと決まってたんじゃないの?」




「ん?」




「…だから、光の友達が来るってことになってたけど、料理ができない光たちは困って、あたしに料理をさせるように煽った…とか…」





「なんやそれ笑
むっちゃ想像力豊かやな。
ほんまに今急にやで」




「ふぅん」




「なんやねん葵。
可愛くないで」




「うるさいわね」




そう、さっき。




ニラの話をした後で。




◇◇◇◇◇




ブー ブー…




「あ、悪ぃ。
電話」




「うん、出ていいよ」



目で『出てもいい?』と聞いてきた気がしたから、そう言った。



するとスッと画面を横にスライドして電話に出た光。




「もしもし?」
「あーうん」
「あぁ、せやで。なに?は?意味分からんって。いやいや。
なんでなん?
なんで泊まるとこないのに来たん?
アホなん?」




およそ3分程の電話。




耳からスマホを離してあたしを見てきたので、なに?、と聞いた。




「あんな、俺の大阪の友達がな、さっき新幹線でこっち来よったみたいでな」




「うん」




「6人なんやけどな」




「うん」




「泊めてほしい言うねん」




「…」




「そんでな、1人誕生日のやつがおってな」




「…」





「ケーキはなくてええから、おやつだけ買っといてくれへんかって」





「…。
泊まることは確定なの?」




「…多分」




「…。
あたし帰る」




「あっ、葵に会いたいって」




「は!?」




「SNSでな、友達になったって通知が出るやろ。そっから葵のプロフィール見たらしくてな。
色々聞かれてん。
誰やこれって。
そんで仕方なくほんのちょこっと喋ってん。
そしたら。
会いたいって言っててん」





「へぇ?それで今日来たって?」




「うん」




「…騙すならもうちょっと上手い嘘をつきなさいよ」




「嘘やないもん」




「…」




「…嫌やったら帰っていいけど…」




「…嫌…じゃないけど。不良ばっかり?」




「…まぁ。見た目は」




「…晩ご飯だけ教えて帰る」




「…分かった。ほんまごめん」




「ううん。光のせいじゃないよ。気にしないで」




「ごめんな」
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