◇◇◇◇◇



16時55分



結局1時間もかかってしまった。




お会計の額を見た時は驚いた。




こんなにお菓子やジュースを買ったことがなかったから、まさかあんなに行くとは思っていなかった。




あたしが呆気にとられている隙に光が払ってくれたけど、後でちゃんと晩ご飯代は払おう。




アパートに着いて自然な流れで光の家に入る。




「おじゃまします」




「誰もおらんし笑」




「いいの」




ポテチやグミ、他のスナック菓子やらおつまみなど、比較的軽い方をあたしが持って。




2ℓのジュース3本と500㎖のジュースやお茶、水がそれぞれ3本ずつ入っている重たい袋は光が持って帰って来た。




あたしが試しに重たい方を持とうとしたら、ピクリとも動かなかった。




買い物の途中でカゴをカートに乗せたから、重さなんて伝わらなくて。




あんなに重いとは全く想像もしなかった。




それを軽々しくはなかったが、10分間休憩もせず。




光はよく耐えたと思う。




「友達、何時ぐらいに来るの?」




キッチンに荷物を置いて光に聞く。





「ケーキは自分らで買いに行く言うてたしな。
ここの場所も知らんやろうから、また連絡来ると思うわ」





「作り終わったら帰っちゃうよ?あたし」





「…。そっか、会えへんくなると葵の家に押しかける可能性があるな」





「え」





「早よ来てもらわな」





「…」





そういう問題ではないと思うけど…。




ポケットからスマホを出して電話をかける光をよそに、キッチンのすみに置いてある小さな冷蔵庫に、買ってきたジュースをしまう。




今日の晩ご飯の材料はガスコンロの横に広げて、お菓子たちは袋に入れたまま床に置いた。




「あと20分で来るって」




「え!はや!」




「急かした」




「そんな早くしないでよ…。人参切ってるところで来ちゃうよ…」




「なんで人参?」




「例えよ!
炒めてる時に来てくれればパッと盛り付けてさっさと帰れるのに…」




「あぁ、なるほど」




「さぁ!始めるわよ!ほら、ぱっぱと動かなきゃ!」




「お、おう…」
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