side 優輝



ピーンポーン




「光ちゃーん、誰か来たよー」




「んん…誰…」




「さーあ?」




だるそうな体を起こしてノソノソと玄関へ向かった光。



弘樹や健二、あゆむも昨日バカ騒ぎをした影響で爆睡。



酒井はどっか行ったし。



明美はちゃんと帰ったのかねぇ。



「あ、葵?なに?」



玄関先から聞こえてきた光の驚いた声。


そりゃああんな風に別れたらもう来ないと思うよね。



それにしても、葵ちゃんって顔はいいくせに考える能がないっていうか。

性格悪いっていうか。

おバカなのかなぁ。


だからいじりたくなるんだけどさ。


せっかく光が葵ちゃんのことを好きだって教えてあげたのになー。


恋愛経験とかないんだろうなー。


光ちゃんってば情緒不安定になると髪の毛染め出したり大変だから、そうなる前に教えたのに。



ピアスだって6個も増やしちゃって。


かわいそうにー。



年上の女にいじめられた光ちゃん。

だからって俺はなにもしないけどね。


光がまた荒れちゃわないようにサポートするのが、俺の仕事。



んま、光が荒れるってことはまだ好きだってことだよなー。


複雑ー。




ガチャ




あ、話終わったんだ。



「おかえりー」



「…染め直す」




「え?」


なんて?


「黒にする」



「どうしたん?」



暗い表情で言った光を見れば、またなにか言われたことは聞くまでもなかった。



「…葵が、このままで学校に行くのかって、不安そうに聞いて来たから」



「それで?」



なんで言う通りにしようとしてんだよ?



別に光が落ち着くなら髪の毛染めるくらいいいけどさー。


「嫌そうな顔しとった…から」




「そうか。なら俺が染め粉買ってくるから、寝とき」




「ええよ、俺行く」



ベタ惚れっちゅうんかな。


あの女のためならなんでもしそうやな。



明美の言う通り。
俺も嫌いなタイプやわー。



「んじゃ、酒井に会うたら酒買わせといて」



酒井だけに…。


なんつってー。



俺…孤独や笑



「うん、分かった」



まだ眠そうな目を擦りながら家を出た光。




あと2日くらいで学校始まるらしいから、そろそろ帰らないとだよね。


俺はまだ春休みだから余裕だけど。

いつ帰ろうかな。
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