浅葱色に射す一筋の光



 
  声がひっくり返るくらいの怒鳴り声に

 幹部…近藤さんまでもが駆け付けて私達を羽交い締めにして押さえつける。

  近藤さん「一体何があったんだ!!」

  土方「こいつが蹴りやがった!!!」

  翔「こいつが回し蹴りして庭までふっ飛ばした!!!」

  近藤さん「…………………………………」


     ガゴン!  ガゴン!


  近藤さんの拳が私と土方にヒット!


     2人で悶絶してると…


  芹沢が笑いながら入ってきた。

  芹沢「じゃじゃ馬を借りていくぞ!近藤は土方と話せ…。今は冷静になるのが一番だ」

  私は担がれ、八木邸へ拉致られた。

  芹沢「女子が顔を腫らすもんじゃねぇ」

  翔「…………………なんで…………何でみんな女扱いするの!!!私は女捨てて壬生浪士組に入ったのに!!!」

  芹沢「ふっ! まだまだ青いな…突っ走るな! ここぞと言うときが必ず来る。時を待て」

  翔「私も大阪に連れてって下さい!!」

  芹沢「ならぬ。今言っただろう。時を待て!!」

  梅「芹沢はん…しばらく翔はんを此方に置いてあげたら良いんと違う?」

  芹沢「そのつもりで連れてきた。土方も血の気が多いからな…ははは。お互い冷静になれ」

  梅「翔はん?女子は男に守って貰うもんなんやで? かいらしい顔が台無しや!!」

 濡らした手ぬぐいで顔を冷やしてくれる梅

 悔しいからか、芹沢や梅の優しさからか…

    ポタポタ涙が頬を伝う。

    梅はそっと翔を抱き締める

   翔「梅ねぇ…う…う…う…」

    涙が枯れるまで泣き続けた。

   いつの間にか芹沢はいなくなってた

   翔「あれ…?芹沢さんは?」

  梅「芹沢はんなら土方はんの所」



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  翔が泣いている頃

   芹沢は土方と近藤、総司といた。

  芹沢「あいつを大阪に連れて行かせない訳を話せ…」

  土方「…あいつは俺の小姓だ」

  芹沢「ずっと閉じ込めておくつもりか。 側に置いておくことがあいつの心も縛り付けていることに気付かぬか…」

  土方「…………………………………」

  芹沢「あいつはしばらく此方で預かる」

  土方「ダメだっっっ!!!あいつは…あいつは…此方側の人間だっっっ!!!」

  芹沢「…あいつは近藤派も芹沢派も好きだと言っていたぞ?梅もいる。心配すんな。悪いようにはせん」

  そう言って芹沢は立ち襖に手をかけた

 襖を見たまま
  「あいつに惚れてんなら…縛るな…信じろ。あいつを…。あいつはいつもお前の話ばかりでな…煩くて適わん。早く迎えに来い…」



  
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